基礎編④~認知症原因疾患:老化・加齢現象~
認知症原因疾患として次のような疾患があります。
- アルツハイマー病・アルツハイマー型認知症
- レビー小体病・レビー小体型認知症
- 前頭葉機能障害・前頭側頭型認知症
- 脳血管障害後遺症・血管性認知症
- 老化・加齢現象
老化・加齢現象
『もの忘れ=認知症』と考えると、年を取って物忘れが目立ってきた人間はみな認知症という病気にかかったことになってしまい、「認知症の人」として偏見にさらされ、悪くすると、治療放棄や棄老の言い訳にされてしまいます。
MRI検査で脳の委縮があったり、海馬の委縮があったりする人間を皆アルツハイマー病と診断すると、ほとんどの高齢者はアルツハイマー病になります。
萎縮と脳機能の低下とは必ずしも一致しません。萎縮した場所の本来の脳機能が、実際に低下している時、委縮に意味があります。
加齢に伴う記銘力低下(AAMI)、加齢に伴う認知機能低下(AACD)という考え方があります。
年相応の認知機能の低下であって、病的なものではないという考え方です。
普通の老化なのか、病的な機能低下なのかの区別はかなり難しいもので、経過を見ていくしかありません。結果的な判断になります。ですから、このような場合は“老化”なのだと考えて治療を組み立てていくべきでしょう。
もし、アルツハイマー病であったとしても、初期の治療はほとんど同じですし、実際アルツハイマー病の進行を止める薬などないからです。
たとえ、認知機能低下が強くても、
- 日常生活に強い自立を求められていない、
- 独居(家庭内独居を含む)による孤立感が強くないような状態
―であるなら、通常は、“ボケたねぇ”くらいで済みます。
あえて”認知症”であると決め付けるメリットはどこにもなく、むしろそのように診断されたことによる心理的影響の方が大きいです。
高齢者における行動異常の方が、むしろ問題となることが多いです。
こちらの方が認知機能低下よりも生活上の問題が重くなるからです。
いわゆる“認知症”よりは介護者にとっては大変です。しっかりと診断してもらう必要があります。
単純に「認知症」と考えて薬を処方されるとより一層問題が大きくなります。
「認知症」と「行動障害」との違いは、こういうときにも大変重要です。
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